第67回定期全国大会大会宣言

 私たち全法務は、9月6日から3日間、静岡県伊東市で第67回定期全国大会を開催した。大会では、熾烈を極める政府の総人件費削減攻撃を跳ね返し、国民犠牲の「構造改革」路線の転換と国民本位の公務・公共サービスの拡充をはじめ、全法務運動のさらなる飛躍をめざしてたたかう方針を決定した。

 5月25日に東京地方裁判所に提訴した「公務員賃下げ違憲訴訟」には全法務から58名の組合員が、公務員の権利が理不尽に蹂躙されたことへの怒りと全体の奉仕者たる公務員としての誇りを胸に、原告として毅然と名乗りをあげた。その勇気と決意は、疲弊した職場・組合員を励ますとともに、この訴訟に勝利するために原告とともにたたかう私たちの闘志を確固たるものにした。私たちは、賃下げの悪循環を断ち切り、くらしと権利を守る官民共同のたたかいに全国で奮闘する。

 政府は、消費税増税など国民犠牲の政治の露払いとして公務員攻撃の手を緩めない。憲法違反の「公務員賃下げ法」の施行、人事院の調査結果による約402万円の官民較差を唯一の理由にした退職手当の一方的切り下げの閣議決定、さらには、総人件費削減政策のもとでの定員削減圧力の強まりに加え、若者の就労機会を奪う国家公務員の新規採用抑制方針の閣議決定、人件費抑制を狙う再任用の義務化など、その攻撃は枚挙に暇がない。
一方、人事院は、政府と財界の圧力に屈し7.6%の官民較差を棚上げする勧告を行った。公務員の権利がなおも踏みにじられていることに満身の怒りを禁じ得ない。私たちは、こうした現状を打開するため、憲法とILO勧告に沿った基本的人権としての労働基本権回復を強く求める。

 昨年発生した東日本大震災は、これまで政府が推進してきた国民犠牲の「構造改革」路線による地域主権改革や公務の民間開放などの矛盾や弊害を浮き彫りにするとともに、改めて国民の安全・安心を守る公務・公共サービスの重要性や国の行政機関の役割を国民の目の前に明らかにした。私たちは、被災者の生活を生業の再建を最優先した復興を求める国民共同の取り組みを強める。
 また、今般の乙号事務の委託契約が解除された事態は、「構造改革」路線での公務の民間開放・「市場化テスト」の制度的矛盾が顕在化した類のないものであるとともに、約1,400名もの業務従事者が一斉に解雇されたことをはじめ、その弊害や負担が公共サービスを享受する国民と公務に従事する労働者に転嫁されたことにおいても、その稀にみる被害の実態は到底容認できるものではない。私たちは、公共サービスを破壊する登記事務の民間開放や乙号事務の「市場化テスト」を行わないよう改めて求める。

 私たちが働く法務局・更生保護官署・入国管理官署・少年院施設の職場は、不十分な要員体制のもとで、膨大な事務量、複雑・困難化する事案の増大、新規施策の推進などで繁忙が常態化している。こうした職場実態のなか、当局の管理強化とも相俟って、恒常的な超過勤務やメンタルヘルス問題など組合員の健康破壊がすすんでおり、喫緊の対応が求められている。
 こうした職場の様々な困難や仲間の苦難の解決をはじめ私たちの切実な要求を実現するためには、強固たる全法務組織の確立は待ったなしの課題である。すべての職場で対等な労使関係と組合員参加の日常活動の確立をめざし、組織の強化・拡大に全力をあげる。
 私たち全法務は、本大会で決定された方針を実践し、全国津々浦々で組織の総力を挙げてたたかうことをここに宣言する。

 2012年9月8日

全法務省労働組合第67回定期全国大会