戸籍は、日本国民の一人ひとりについて、その出生から婚姻などを経て死亡に至るまでの身分関係を登録し、公証する唯一の制度です。戸籍事務は、市(区)役所および町村役場で取り扱っていますが、法務局はその管轄官庁として、市区町村の戸籍事務担当職員の研修や助言、指導等をしています。
また、外国人の帰化申請の受付、国籍取得届および国籍離脱届の受付、審査など国籍に関する仕事もしています。
供託には、家主が家賃を受け取らないときなどに供託すると、支払いが済んだのと同じ効果が生じる弁済供託をはじめとして、旅行業などの営業者が、その営業活動によって顧客等に与える損害を担保するためにする営業保証供託など、いろいろな種類のものがあります。これらの供託は、いずれも国民の権利を保護するうえで重要な役割を果たしています。
成年後見制度は、自分で法律行為を行うことが困難な痴呆症や知的障害などのある方々を保護し支援するために、保護の内容が画一的・硬直的であったこれまでの禁治産・準禁治産制度に代わり、より柔軟かつ弾力的で利用しやすい制度として創設されました。
東京法務局では、これまでの準禁治産宣告などの戸籍への記載に代えて、成年後見人などの権限や任意後見契約の内容などを登記し、登記官が証明書を発行することによって登記情報を開示する事務を行っています。
人権の擁護は日本国憲法の柱の一つであり、民主政治の基本です。
人権の擁護については、国民一人ひとりが他人の人権を尊重しあいながら、自らの人権を守ることはもちろんこのと、国においても国民の自由と権利を守っていくことが必要です。
このため、法務局では、全国の市区町村に配置されている人権擁護委員と協力して、国民に広く人権思想を知ってもらうための啓発活動を行うとともに、人権に関するさまざまな相談や、人権が侵された場合の調査・救済などの活動をしています。
現在、法務省の人権擁護機関は、人権相談や人権侵犯事件の調査処理を通じて、人権侵害の被害者の救済に努めています。2011(平成23)年に新たに受けた人権侵犯事件は2万2,168件に上っています。
法務局の訟務担当職員は、例えば、私人と国との財産関係の争いや、行政処分にたいする不服が訴訟に発展した場合に、国側の代理人となって法廷で訴訟活動を行います。
そのほか行政庁などから法律的な質問や相談に応じて、適切な助言、指導を与えるなど、紛争を未然に防ぐように努めています。
このように訴訟担当職員は、裁判を通じて適正かつ迅速に解決し、「法律による行政」を実現するため、きわめて重要な役割を果たしています。