登記の審査業務や窓口相談業務は省力化できません。慢性的な要員不足の解消が喫緊の課題です
法務局は登記をはじめ戸籍・国籍・供託・訟務・人権擁護など、国民の権利と財産を守る行政事務を扱っており、地域住民の生活に密着した官庁です。
とりわけ登記の業務は、1971年(昭和46年)の2.1億件から当時の日本列島改造バブル景気等で2000年(平成12年)までには4.2億件に増加しましたが、この間に職員はわずか18%しか増えていません。さらに、近年においては、「行政改革」による定員削減政策が一層強まるなか、2001年から3000人以上の職員が減らされています。
土地や建物などの不動産は、国民の重要な財産です。法務局はこれらの不動産の一つについて、その所在・面積などの現況と所有者などの権利関係を明らかにした「登記簿」を備え国民への公示をしています。例えば、土地や建物を買って自分が所有者になったということを誰にでも主張できるようにするには、所有者になったことを登記することが必要ですし、また、土地や建物を担保にしてお金を借りるようなときは、抵当権などの登記がされることになります。
登記には、ほかに会社その他の法人を扱う商業法人登記などがあります。
例えば株式会社を設立するには、その登記をする必要があり、この登記があるからこそ、その株式会社と安心して取引ができるようになります。
このように、登記制度は日常ひんぱんに生ずる不動産取引や各種の経済取引が、安全かつ円滑に行われるために欠かすことができない国が保証する信用制度です。
経済が成長し国民の生活が向上するにつれて、不動産登記や商業法人登記の申請はますます増加し、経済活動のなかで登記制度が占める重要性は、ますます大きくなっています。