保護観察官、社会復帰調整官は常に高度の専門性を求められ、人手不足は労働強化になっています
「医療観察制度」は、心神喪失又は心神耗弱の状態で(精神の障害のために善悪の区別がつかないなど、通常の刑事責任を問えない状態のことをいいます)殺人、放火等の重大な他害行為を行った人の社会復帰を促進することを目的として新たに創設された処遇制度です。
対象者には厚生労働省所管の指定入院医療機関による専門的な医療が提供され、入院決定を受けた対象者の場合、保護観察所は、その人について、退院後の生活環境の調整を行います。通院決定を受けた人及び退院を許可された人については、保護観察所による精神保健観察に付され、必要な医療と援助の確保が図られます。
保護観察所においては、本制度による処遇に従事する専門スタッフとして、精神保健福祉士の有資格者など必要な知識及び経験を有する「社会復帰調整官」が配置され、本制度による処遇を実施するとともに、地域社会において関係機関相互の連携・調整役を担っています。
生活環境の調整・精神保健観察事件は年々増加し(2005年の66件から2012年には1,186件に増加)、また、医療機関と常に連絡を取りつつ職務にあたっている社会復帰調整官は多忙を極めています。2005年から始まった制度なので、未だに社会復帰調整官が1名しか配置されていない職場があります。制度の安定的な運用のためには、早期の複数配置、社会復帰調整官の大幅な増員が必要です。