有識者会議は保護観察官の倍増を提言、国民の期待に応えられる保護行政をめざしています

◆更生保護官署◆

 保護観察官、社会復帰調整官は常に高度の専門性を求められ、人手不足は労働強化になっています

 保護観察所では、制度発足以来慢性的に、保護観察対象者の指導にあたる保護観察官の数が大幅に不足している状況が続いています。
 近年、保護観察を受けている者による重大・凶悪な事件が繰り返されたことで、保護観察による再犯防止機能の強化を目指した新たな基本法である更生保護法が2007年に成立しました。従来の保護観察制度の見直しが進められ、保護観察対象者への処遇の強化や自立更生促進センター構想、専門的処遇プログラム、刑務所出所者の就労支援、高齢・障害のある者の社会復帰、緊急的住居確保、自立支援対策などの新規施策が次々導入されています。しかし、職場では要員も予算も確保されず、人員不足と労働強化がこれまで以上に進んでいます。
 保護観察所の要員確保が急務であることは、「更生保護のあり方を考える有識者会議」が2006年6月の最終報告で強調していることに加え、少年法の一部改正や更生保護法の制定の際にも保護観察官の大幅増員を求める付帯決議がなされています。
 更生保護官署は、罪を犯した人々や非行に陥った少年たちの立ち直りのための諸活動を推進しています。この活動には、地域社会の人々の温かい理解と協力が必要です。我が国においては、保護司をはじめ地域のたくさんの民間協力者が犯罪者や非行少年の立ち直りを助ける「更生保護」の活動に参加しています。「官民協働」で更生保護制度は支えられているのですが、全国で約5万人いる保護司に対して、現場の第一線で保護観察事件を担当する保護観察官は約700人しかいません。脆弱な人的・物的体制の下では、国民の期待にこたえることのできる強靱な更生保護制度の確立は望めません。