平成30年度増員査定にあたって(声明)

全法務省労働組合中央執行委員会

 政府は12月22日、平成30年度予算政府案を閣議決定しました。

 政府は12月22日、一般会計総額97兆7,128億円の平成30年度政府予算案を閣議決定した。

 平成30年度の国家公務員の定員査定は、「平成30年度内閣の重要課題を推進するための体制整備及び人件費の配分の方針」(平成29年7月20日内閣総理大臣決定)等に基づき、テロ対策や治安の強化、CIQ(訪日外国人対応・税関、入国管理、検疫)の体制整備、東日本大震災からの復興への対応などの内閣の重要政策を重点に全体で5,156人を増員する一方で、「定員合理化計画」の具体化として、行政のICT化や民間能力の活用等の業務改革の推進などにより▲5,602人の定員を削減し、結果として、国家公務員全体で▲446人の定員純減となっている。
 なお、上記の増員査定(5,156人)のほかに、時限増員として613人が、ワークライフバランス推進のための定員として179人がそれぞれ別途措置されている。

 法務省にかかる定員査定結果は、既定の合理化計画数▲971人を大きく上回る1,273人の増員が査定されたことにより、法務省全体で302人(昨年236人)の定員純増となっている。
 全法務が組織されている各部局別では、入国管理官署は「出入国審査体制の整備等」として昨年を上回る260人の定員純増、更生保護官署は「再犯防止対策の推進等」として昨年を下回ったものの16人の定員純増となった一方で、少年院・少年鑑別所は定員純減▲6と大変厳しい結果となっている。
 法務局では、「相続登記の促進を図るための体制の整備」として登記に223人、「インターネットを悪用した人権侵犯事件の処理体制の強化」として人権に1人、「予防司法機能の充実強化」として訟務に1人の合計225人の増員が査定された。要求数の満額確保には至らなかったものの、昨年を上回る増員査定を得て、平成9年度査定以来21年ぶりとなる純増査定を勝ちとったことは、私たち全法務の増員闘争の大きな成果である。

 法務局の定員純減は回避できたものの、平成10年度以降続いてきた定員削減によって、行政執行体制の脆弱化を招いているばかりでなく、行政サービスの低下を回避するため、恒常的な長時間労働を余儀なくされるなど、職場の疲弊や繁忙が限界に達しており、職員の健康被害も深刻な実態に陥っていることを踏まえれば、すでに政府による定員管理政策が破綻しているといわざるを得ず、政府に対して「定員合理化計画の中止」を含めた現行の定員管理政策の抜本的な見直しを強く求めていく必要がある。
 また、登記全体で223人という一定数の増員査定は得られたものの、これまでの「定員合理化計画」の強行により疲弊した職場実態を踏まえれば、「相続登記の促進」を図るための体制整備の要員数としては決して十分とはいえないものであり、平成31年度以降も継続した増員要求を実施させるとともに、必要な要員が措置されるまでの間の職場対策の実施を当局に強く求めていく必要がある。

 全法務はこの間、行政サービスの向上と組合員の労働条件の改善、さらには東日本大震災及び熊本地震からの復興事業のための要員確保などをめざして、全国津々浦々で増員闘争を展開し、これまで30年以上にわたって「法務局・更生保護官署・入国管理官署・少年院施設の増員に関する請願署名」の国会請願採択を勝ちとってきた。
また、2017年秋期年末闘争でも、国公労連が提起する「国民の権利と安心・安全をまもる運動」と連携し、法務行政相談活動や街頭宣伝などの取り組みを展開するとともに、国会議員要請や地方議会要請などのさまざまな行動をつうじて、法務行政の役割や職場の繁忙実態を訴え、行政執行体制の拡充を図るため、国民世論の構築などをめざして奮闘してきた。さらには、これ以上削減する職場はどこにもないことを法務省当局に認識させ、最大限の努力を要求してきた。

 全法務は、厳しい情勢にあっても、この間の増員闘争に自信と確信を持ち、これまで以上に奮闘する決意をもって、法務行政の拡充に向けた要員確保の要求をかかげ、増員闘争を全国で展開する。
 厳しい職場実態や強まる公務員攻撃のなかでも、たたかいに結集された全国の仲間のこれまでの奮闘に心から敬意を表するとともに、引き続き職場・地域からのたたかいに決起することを呼びかけるものである。

以上